ほらね。

貸していただいている本がいろいろありまして、ホラーなんです。

こんなにホラーを続けて読んだこともなく不思議な夏となっております。

物語に引き込まれていきますと、暑さも忘れ、仕事も忘れて、活字に自分の目を奪われ先へ先へと誘導されます。手が勝手にページをめくり本に閉じ込められていた空気と言いますか、呪いと言いますか、それが解き放たれ僕を飲み込んで離さないので、僕はもう後戻りは出来ず、やれることと言ったらいち早く先へ進むことだけ。

そんな時に、お客様が突然お店に入ってきます。

 

い、いらっしょいませ…

 

驚きと安堵。

悟られまいと背を向けて水の支度をして心を整え、いざ振り向きカウンターに水を差しだす。

暇そうな店だなぁ

と嫌味な声。

聞きなれた声。

そう、社長の悪態。

本の世界も目の前の世界も、ホラーだ。