彼がすまコーヒーにやってきた日のことはあまりよく覚えていない。
いつの間にか、いた。
彼は臆することなく自分の感じるがままコーヒーのコメントをする。
ポジティブなこともネガティブなことも、分け隔てなく。
コーヒーの香りをとり飲み、いたずらっ子のように笑いながら、
「これってぇ、〇〇」
僕はだいたい、「そう」
と返し、二言三言コメントを言い合う。
ネガティブなことを言われても、「そう」。
焦ってみたり怒ってみたり、不思議とない。
彼が深煎りのコーヒー数種類と、ブルーマウンテンとパナマのコーヒー豆を持ってきてくれる。
美味しいから飲みましょうとは言われていない。
同じコーヒーを飲み合って、それぞれがどう感じるかを言い合うだけだ。
相手の言うことが分かる時もあれば、そうじゃない時もある。
ただ感じ方が違うんだなと気づく。
それが面白いなとも思う。
なんでこのコーヒー豆が美味しいとか言ってんだよ!
全然コーヒーの味分かってねえよ!
などと彼と怒鳴り合っているのを想像したら、これはまさにコントだ。
シュールなコントにしかならない。
彼はそんな人。
良かったら、遊びに来てね。