この物語を振り返ってみると、1人の男に突き当たる。
松澤宏樹。
彼がなぜタイにいるのか。
そしてなぜ彼は熱海にコーヒーのラボを作ったのか。
これを書こうとすると、年が明ける。
だが、彼がそこでQアラビカグレーダーのセミナーを開いたことによって、物語が大きく動き出す。
たまたま、3人の男がそこで出会うからだ。
1人は、すまコーヒーの藤井。
もう1人が、アンティークドアの一場。
最後にこの男、
ハワイからやってきた、マックス。
本名はよく知らない。
彼は、サーフィンと星をこよなく愛し、たぶん女性も、あまりに好きすぎて日本からハワイへ渡った男だ。
そこでカウコーヒーに出会う。
コナコーヒーではない。
カウだ。
彼はカウコーヒーの生産に携わることになり、カウコーヒーを愛すことになる。
そんなマックスが、Qグレーダーの資格をとるべく熱海へやってきた。
これを手にして。
カウコーヒー、しかも生豆。
マックスはこの生豆をセミナーに参加した人間に配った。
「カウコーヒーの素晴らしさを広めたい。」
愛すべきものの為に海を渡った男が、
愛すべきものを手にして帰ってきたわけだ。
しかし、
僕はこの生豆を受け取らなかった。
なぜならば、僕には焙煎する技術も焙煎機も持っていないからだ。
そんな僕に、マックスが微笑んだ。
「たとえ焙煎をしなくとも、あなたが抽出したら、それはあなたのコーヒーでもある。」
そんなことを言われて嬉しくなって、
僕は、このカウコーヒーを受け取った。
この時の僕は、
抽出することによって、このカウコーヒーに責任を持つ、
そしてそこには大きなプレッシャーがかかるということをよく理解していなかった。
あぁ、マックスはなんて腕のいい営業マンだったのだろう。
本番の30日が、近づいてくる。
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